世の中には市場のニーズを捉え、それをWebで上手く実現させているビジネスがある。
ここは、その成功要因を調査するコーナーです。
今回ご紹介するWebビジネスは、ネット利用者がわからないことを質問をして、他人が答える「Q&A」サイト「OK Wave」です。このサービスは「株式会社オウケイウェイヴ」により構築、運営されております。
ここ数年、ネットを通して人とのコミュニケーションが大変楽になりました。今まで障害であった、距離、人間関係、時間を超えて、良質な情報を摂取できるサービスの一つに「OK Wave」があります。
私の場合「OK Wave」はこんな時に使っています。
「車の名義変更をするには?」「株式会社の設立には何が必要か?」など...。ちょっとマニアックな疑問でも、細かく手順を知りたい時、良質な回答が素早くわかるので便利です。
同サイトは会員数155万人以上、月間訪問者4,100万人以上、月間ページビュー数は約6.9億pvを数え、蓄積されたQ&A数は1,950万件以上、だそうです。もはや想像してもよく分からない領域に達しており、この膨大なノウハウとネットワークが最大のウリとなっています。
また「OK Wave」の仕組みは大手ポータルサイトや企業の顧客サポート部門等、200社以上に導入されているそうです...。
ん!このサイト、ネットの利用者の分からないことを、他人が答える、それだけでビジネスをしていない!!実はそこが大変面白いところです。このノウハウを活かして、大手企業のFAQサイト約200社もこのエンジン(仕組み)を導入しているそうです。
名だたる企業名を少しかいつまんでみますと...
トレンドマイクロ株式会社
エヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社(教えて!goo)
イー・モバイル株式会社 ほか
そういえば「このメーカーのFAQは便利だなぁ、よくこんなマイナーな質問まで丁寧に回答されているなぁ」と関心していると、実は「OK Wave」のエンジンで動いてることが多々あります。
あの「ウイルスバスター」で有名なトレンドマイクロでも「トレンドマイクロ@OKWave」を開設し、同社製品のユーザ同士が問題解決しあうCtoC型のサポートをいちはやく取入れています。
ちなみにこちらのQAサイト、開設後3ヶ月でテクニカルサポートのお問い合わせが前年比で35%も減少し、サポート負荷が大幅に軽減したようです。
また、同社の社長は兼元氏は、2年間の野宿生活を経験した特異な経歴の持ち主としても有名な方です。インタビュー記事などを読んでいると、兼元氏の起業・ビジネスに対する熱い志がドシッと伝わってきます。
同氏は在日韓国人で、小学校で受けた差別が今のビジネスに活かされているそうです。友達から突然の差別行為で自律神経をおかしくし、しばらく車椅子生活を余儀なくされていたとのこと...。そうした体験を元に、身体障害者むけに無料で利用できるコミュニティーサイトを作ろうと思ったのがきっかけだそうです。
この会社は他社にそのノウハウ(エンジン)をOEM提供することで売上を伸ばすと同時に、膨大なノウハウの蓄積を行っているのです。
う〜む恐るべし。真似できそうでできない発想です。同社のこの10年にわたるノウハウの蓄積と、会社経営の志が参入障壁になっていると私は思います。
これから会社を興し、経営を継続させる為に必要なのは、突発的なアイディアよりも、世の中にどうやって貢献するか、それを信じいかに愚直に実行を続けられるか、という点が重要だと気付かせてくれます。