最近、自動車による暴走事故、あおり運転といった事件が世間で取り沙汰されている。特に今年4月、池袋で起きた80代男性による暴走事故はあまりにひどく、記憶に新しい。
その事件、高齢者が運転する乗用車が時速90キロ代後半までスピードを上げ、池袋で赤信号の交差点に進入。通行人らを次々とはねとばし、自転車に乗っていたお母さんと女の子の尊い命が奪った。
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容疑者の男性は88歳、事件後の現場検証では両手に杖を持って痛々しく歩いてる様に見えた。「このような方が、昼間の都内を車で運転する必要があるのだろうか?」亡くなった母子の家族、被害者の男性は容疑者に厳罰を求める29万人の署名を集め、疑問を呈していた。
被害者の男性は「交通事故は愛する人との日常を奪ってしまう。ハンドルを握るときは家族など身近な人に向ける愛を外の人にも向けて安全運転をしてほしい」と呼びかけている。また、記者会見でもこのような事を訴えられていた「今を生きている皆さんに、こんな思いはしてほしくない。軽い罪で終わってしまうという、という前例を作ってはいけない…。」
「そのためにも、法制度の改善、(自動車)技術の向上、環境面の向上、それらが整備されて、今生きる全ての人が安心して生きていける社会になってほしい。」と。
私たちはこの主張を重く受け止めつつ、今後、このような悲しい事故が起こらない為にはどうすれば良いのか、真剣に考えてみる。重要なのは「自動車のスピード制限技術面の向上」、「スピード違反に対する社会的タブー視、絶対に認めてはいけないという社会の共通認識の浸透」ではないだろうか。
容疑者の男性は「アクセルとブレーキを踏み間違えた」と証言していたそうだが、事故後の該当車両を調べたところ、そういった異常は見当たらなかった。悲しい事故は加害者も、被害者も多くの人の心を傷つけ、おかしくしてしまう。
敢えて声を大きくして問う「自動車のスピードメーターは時速180キロまで本当に必要なのか?」つまり、市街地を走る自動車は時速60kmも出せれば十分だということ。
昨今、電気自動車やオートパイロット機能、自動運転は自動車業界の未来を担う技術で、世界中で進化していくことは間違いない。しかし今、日本の自動車社会の中で、既に走っている車はどうするのか、運転者の高齢化については歯止めを掛けることは難しい。
高齢者の免許更新条件を厳しくしたり、より自発的な運転免許返上を促進するという活動も必要である。ただ、地方でバスも電車も走っていない地域では、高齢者自ら運転せざるを得ない事情も介在する。
今、私たちが取り組める「自動車の技術向上」って何なのか?その答えとなる一つのヒントとして、大型トラック(10トンクラス)の速度制限が上げられる。
意外と知らない方も多いのだが、大型トラックは15年前から法律で、時速90kmでの速度制限装置の取付が義務づけられている。だから、高速道路での大型トラックは時速90km以上のスピードを出すことはできない。この効果もあって、大型トラックでの事故は減少傾向にあるという。
当然、このような「自動車の速度制限技術」を普通自動車にも適用すべきではないか?そう考える人も少なからずいるが、実現していないのが事実である。