COLUMN

『会社員と起業家・経営者のキャリアアップ、アイデンティティについて』

これは全て私の体験を通して想う事だが、会社員と起業家・経営者の仕事における成長力、アイデンティティは量、質ともに全く異なるものである。何が違うかイラストで説明したい。
図1)は会社員のキャリアアップ、仕事による自分の成長について表現したものだ。2007年頃(団塊世代の大量リタイア開始)までは、会社の成長性に乗っかりながら、毎年同じ仕事量、質をこなしていれば会社と共に成長できた。また、第3者からもそれなりの評価がもらえた。実際に転職にも使えた。


しかし、今は違う。その右の図が現在のそれだが、会社の成長力は衰え、平均年齢は上がり上の世代が昇進、卒業せずに詰まる。となると、以前と違い同じ仕事量、質をこなしていても個人のキャリアアップには繋がらない。厳しい言い方だが、仮に10年同じ仕事を繰り返しても、1年目の10倍にはならないのだ。
では、図2)で起業家・経営者のそれを見てみよう。
起業家・経営者の場合、始めた瞬間から「会社」という自己を形成する最も大きな要素が、取っ払われてしまう。(私の場合はこれが95%は占めていた)だから、前職のキャリアなんて早めに全部捨ててしまうことが重要。


そして、事業(会社)を始めた瞬間から孤独で、どんどんマイナスの力(必要経費、社会的信用力の低下など)が働き、死に近づく。だから、今日を生き抜こうという力が働き、自己の成長に繋がる。毎年成長している会社というのは、実はもっと多くのマイナスの力に引っ張られながらも、それに逆らって成長しているのだ。下りのエスカレーターを逆走している、とイメージすればわかり易いだろう。
年功序列、企業の成長性が鈍化した中で、キャリアアップするというのは本当に難しい。